タングステン・モリブデン工業会

  1.歴史

Ver 2.0
2006-6





          

 1.1.1 タングステンについて

  [歴史]

1574年頃:   タングステン鉱石である鉄マンガン重石(Fe,Mn)WO4は、当時すでに発見されていたが、錫の鉱石と間違われていた。
  タングステンを含む鉱石である鉄マンガン重石が錫鉱に混入すると多量の錫がスラグ化されるため、錫を狼のようにむさぼり食うとの意味で、その鉱石をウォルフラム石wolframiteと称し、元素をウォルフラムといった。
1755年:   タングステンという名称は、クローンステットによりつけられたといわれる。スウェーデン語で「重い(タング)石(ステン)」という意味をもち、初め灰重石(シーライト)CaWO4中に含まれる未知の物質(元素)の呼び名であった。
1758年頃:  Tungsten(タングステン)という言葉が最初に用いられた。カルシウムの鉱石がscheelite(灰重石)と名づけられた。
1781年:  シェ−レScheeleが灰重石(シーライト)中にタングステン酸を発見した。
1782年:  おなじくスウェーデンのベリーマンT.O.Bergmanが鉄マンガン重石(ウォルフラマイト、狼鉄鉱)((Fe,Mn)WO4)中にシェ−レの発見したのと同じ酸を見出した。
1783年:  スペインのエルヤルトDon Fausto dElhuyart(1755〜1832)が、兄弟(Don Juan Jose)で鉄マンガン重石から同じくタングステン酸を見出し、それを炭素で還元して金属タングステンの微粒を遊離し、この金属をウォルフラムと名づけた。
 従って、「タングステン」と「ウォルフラム」の二つの呼び名があるが、最近では日本を含めて世界各国で「タングステン」が一般に使われている。タングステン金属が一般に使われるようになったのは二十世紀の初頭で、白熱電球のフィラメントに使われた。
1821年:  K.C.von LeonhardはCaWO4鉱石を“シーライト”と名づけた。
1908年:  W.D.Cooldgeは、白熱灯用の延性のある金属タングステン線の製法特許を取った。

 [製法]

 鉄マンガン重石を原鉱とするときは普通アルカリ抽出を行い,NaWO・2HOを得てから塩酸で処理してWO・H2Oとするが,灰重石からの場合は直ちに塩酸によってWO・HOを得る。これらを水洗した後,過剰のアンモニアに溶解し,ろ過,蒸発させてパラタングステン酸アンモニウムを経由して,熱分解後WOを得る。得られたWOを還元してタングステン粉を得る方法が最もよく用いられている。

 最近は、パラタングステン酸アンモニウムの製法にはイオン交換法を用いられることが多くなっている。

  

 [参考文献]

世界科学大事典 講談社 昭和52
国際大百科事典 ブリタニカ
日本大百科事典 小学館
化学大百科   朝倉書店

世界大百科事典 平凡社
化学大辞典   共立出版
 
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