タングステン・モリブデン工業会

  10.用語解説

Ver 2.0
2006-6







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10.1 資材関係用語

(1)タングステン相場 (LMB相場)

  LMBはLondon Metal Bulletinの略称で、ロンドンで毎週2回(水曜と金曜)発行される金属業界誌(Metal Bulletin)に掲載されるタングステン鉱石(標準的ウオルフラマイト鉱、WO3 65%含有の市場取引価格)又はAPT(欧州、米国及び香港での市場取引価格)の相場をいい、通常はここに掲載される相場価格に準拠して取引される。

  例えば鉱石価格は積月のLMB誌平均価格とか、積月を含む過去3ヵ月の平均価格の何%引とか言う取決め方。

  なお、この相場については高値と安値が発表される。過去何回かこの価格の妥当性が論議されたが、同誌が欧米の主要タングステン取扱業者、メーカー、鉱山等数社に電話で出来高、価格等を問合せた結果の平均を掲載するもので批判の対象にはなっているものの、これに代るものもないことから、現在では取引価格設定の一つの指標になっている。

(2) MTU単位

  MTUはMetric Ton Unitの略であり、別名Kilo Ton若しくはFrench Tonとも云い、タングステン鉱石及びAPT原料取引の価格単位で、$/MTUと表示される。

  W鉱石及びAPT(EU又は香港) の相場は鉱石1トン中のWO3 純分1%(10Kg)の価格で表示される。

  タングステン鉱石は、通常WO3 65%含有の標準精鉱で取引され、例えばMTU当り$82であるとすれば、鉱石(精鉱)1トンがWO3含有72%の場合その精鉱1トンあたりの価格は下記の計算値となる。
        (82)×(1,000×0.72)/10 = $5,904

(3) LTU、STU単位 

  LTUはLong Ton Unitの略で、WO3純分22.4 lb=10.16Kgの価格を示す。
        別名 English Ton、Gross Ton とも云う。
  STUはShort Ton Unitの略で、WO3純分 20 lb= 9.07Kの価格を示す。
        別名 American Ton とも云う。

  LTUは以前に英国で(現在は英国でも$/MTU)、STUは主として米国で使用されている。
  前記のLMBに表記されたのは、1970年(昭和55年)末迄はSh(シリング)/LTU建であったが、1971年からは英国のスターリング貨の10進法採用(1£=100シリング)に伴い、 £/MTU建に変り、更に1977年(昭和52年)1月以降は$/MTU建となり現在に及んでいる。

(4) モリブデン相場

 モリブデンのマーケット市況に関する指標はタングステン同様、鉄鋼用のテクニカルグ
レード三酸化モリブデンとしてLMB誌(毎週水及び金曜日)に公表される市場相場や
Metals Week-Molybdenum Dealer Oxide Price(毎週月曜日)、Platt’s Metals Week及びRyan’s Note(毎週火及び金曜日)に公表される市場相場などがあり、一般的には売り手と買い手との間でどの指標を使うかが決められる。

  金属用に使われるADM(Ammonium Dimolybdate)、AHM(Ammonium Heptamolybda
te)、APM(Ammonium Polymolybdate) や 三酸化モリブデン(ピュアグレード)はテクニカルグレードから純化・精製された原料であり、特別に建つ相場は無いため鉄鋼用の三酸化モリブデン相場指標が準用され、純化・精製コストが付加される。

  テクニカルグレードの公表価格は$/Lb・Mo で表示され、マテリアルに含まれるMo純
分のポンドあたりの価格を示す。

(5) ITIA

  International Tungsten Industries Associationの略称で、国際タングステン工業会。

  1988年1月1日に設立され、英国ロンドンに事務局を置いたタングステンの鉱山、精錬・加工及び関連商社等で構成されるタングステン工業界の国際的団体。

  構成員の生産、消費等の集計を始め、年1回の総会と3年毎のタングステン関係の技術・市場動向等のプレゼンテーションを伴ったシンポジウムを主催している。