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寄  稿
 「我が家の愛犬」 (第131会報)
株式会社 ウイザップ偕楊社
取締役 秦野製作所長 二見 洋一
 遡ること約20 年前、我が家で小さな子犬を飼うことになりました。娘が20歳のころ、友人たち3 人とあるブリーダー宅を訪れ数匹のミニュチュアダックスフンドを見学し、それぞれ気に入った子犬がいたそうです。娘は中でもおとなしく小柄で足が細い少し仲間外れの茶系の子犬が気にいったようです。帰宅後、私たち両親に飼ってもよいかと相談がありました。娘には弟がおり、その昔すべて面倒をみる条件でウサギを2 匹飼ったことがありました。初めは興味があり、面倒を見ておりましたが、ある時期から飽きてしまって面倒をみることなく亡くなるまで私たち夫婦が面倒をみた苦い経験、又命を預かる大きな責任もあり、私たちとしては反対しました。ところが数日後、勝手に気にいった犬を家に連れて来てしまい、返すことも出来ず娘の部屋で飼うこと、食事、糞尿の始末、避妊手術、予防接種等々金銭面含めすべて面倒をみる条件でやむを得ず飼うことになりました。

 ここでダックスフンドの犬種について少し触れておきます。ダックスフンドの原産国はドイツであり、ダックスはドイツ語でアナグマを意味する言葉で、フントは犬を意味する言葉だそうです。元はアナグマを狩猟するため巣穴に潜り込めるようサイズに合わせて胴長、短足に改良されたのがダックスフンドです。通称ダックスフンドは巣穴の大きさ、体格によりスタンダード、ミニュチュア、カニンヘンに分類され、カニンヘンが最も小さく体重は3Kg 程度、ミニュチュアダックスは4.4 ~5Kg とされています。寿命は一般的に14 ~ 17 歳といわれ小型犬の中では特に長寿の犬種になります。小型犬の年齢はおおよそ2 ヶ月で人間年齢2 ~ 3 歳、1 歳で15 歳、10 歳で56 歳、17 歳となると84 歳、7 歳を過ぎると高齢犬になります。1 歳以降になると成長スピードは少し落ち着き、(犬の年齢+4)×4の計算式で算出できます.ダックスフンドが罹りやすい病気としては色々ありますが、特に肥満と胴が長いことによる椎間板ヘルニアに注意が必要です。ミニチュアダックスフンドは一般的に大きすぎず、小さすぎず、賢く、しつけやすく、運動が大好きで社交的で愛玩犬として人気な犬種になっています。
      

 話は戻りますが、娘が連れてきたミニュチュアダックスは生後2 ヶ月でティアラと命名し、我が家の一員になりました。数ヶ月は2 階娘の部屋で飼っておりましたが、日中娘の勤務中は部屋に置いておく訳にもいかず、又私たち夫婦、息子とも情が移ったこともあり、いつの間にか1 階にいることを許し、愛玩するようになっていました。1 階は、和室以外すべてフローリングで滑りながらも元気に走り回ったり、ソファー等に駆け上がったり元気で過ごしておりました。屋外では散歩が大好きで、近所の愛犬とも仲良くなり交流が広がり、飼い主共々楽しい生活が続いておりました。

 時が過ぎ、娘も27 歳になり結婚し、動物を飼うことのできないアパート暮らしを始め、ティアラは我が家に残ることになりました。又、長男も独立し私たち夫婦二人になり、ティアラとの生活がはじまりました。もちろん娘の部屋はティアラ専用となり夜は娘の部屋に寝かし、昼間は1 階での生活が続いておりました。ある日、ティアラが7歳のころ突然、私が出勤途中に妻からTEL があり、2階の部屋でティアラが動けず悲鳴を上げていると連絡がありました。即、家に引き返し確認をしたところ、椎間板ヘルニアの症状でした。早朝で、かかりつけの動物病院もなく突然のことにてどうしてよいか分からず、娘の知り合いに相談し、救急対応して頂ける動物病院に連れて行きました。しかし、処置できず車で1 時間ほどの他の病院を紹介され、診断は椎間板ヘルニアで最も重い症状、痛覚消失(ペンチのようなもので摘まんでも表情の変化がないこと)ステージ5と告げられました。一刻も早く手術が必要で時間と共に神経へのダメージも深刻になり、死に至ることもある。又術後も歩ける確率は五分五分とも付け加えられました。この時点で犬とは言え家族の一員として選択肢は一つしかありませんでした。犬を飼い始めた時点からペット保険を検討しておりましたがズルズルと加入しておりませんでした。

 手術は成功し、命は取り止めたものの下半身不随は免れない状況で退院後も1回/週の水中トレッドミル(水中歩行訓練器)によるリハビリを3ヶ月ほど続けました。しかし改善が見られず再手術を勧められ、歩けるようになればと再度手術を行いました。その後もリハビリを続けましたが、一向に改善が見られないまま数ヶ月が過ぎていきました。このままではと思い犬用車いすを考えるようになりました。

 この段階で医療費のみで新車の軽自動車が購入できるくらいの費用が掛っており、如何にペット保険の大切さを身に染みて感じたことを記憶しております。車いすはオーダーメイドで軽量アルミ製、小さな犬でも軽快に歩き回れるものなので購入し、リハビリは中止しました。散歩等屋外では車いすを使用しますが、家の中ではおしりを引きずる生活でした。
     

 1階のフローリングは滑り防止対策ではなく、下半身不随によるうんち、おしっこ対策のための部分カーペットを敷くようにしました。ティアラが15 歳ごろからおしりを引きずることによる細菌性の膀胱炎、尿道炎を繰り返すようになり又もや通院の機会も多くなりました。17歳のころからは食事も細くなり、動くことも少なく、寝たきりの時間が多くなりました。亡くなる1ヶ月ほど前からは流動食が主体となり、シリンジ(注入器)で食事を与えるようになってしまい、2~3週間前には生理用食塩水の点滴を自宅でするようになり、寿命が近いことを感じた時期でした。

 一昨年の10月、小生が会社から帰宅すると何時もよりぐったりとして顔も上げられず、うつろな目で小生を見ていました。うんち、おしっこがお尻に付いていたのでお風呂で洗って、膝の上で乾かしていると安心したのか小生の膝の上で安らかに息を引き取っていきました。

 犬が人間に対しての順位付けについては色々説がありますが、小生の感じるところ、飼い主である娘、娘の夫、妻、息子、小生の順で接した時の喜び方、仕草が違い、小生が一番下位に見られているように感じていました。しかし、この時は私の帰るのを待っていたのかと思うと愛おしさを感じ心が痛みました。娘が連れて来たとは言え、私たちに数えきれないほどの幸せや愛情を与えてもらい、我が家の癒しとなり約18 年もの長い時間楽しい生涯を送ったと思います。
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