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技術
  「タングステンを含むスクラップリサイクルの
        生産性向上および技術改善」 (第132会報)
日本新金属株式会社 秋田工場
久永 昌広
 1. 背景・経緯
 世界のタングステン原料生産量は、その8割以上が中国に依存しており、供給リスクがあることから、タングステンソースの多様化に取り組んでいる状況である。また、供給リスクだけではなく、低コストで増産が出来る体制を構築し、かつ、循環型社会に貢献することが当社にとって重要なミッションであることから、タングステンを含む(超硬工具など)スクラップリサイクルの生産性向上および技術開発に取り組んだ。

 2.解決すべき課題・目標
 今後、出発原料を鉱石だけではなく、スクラップを主原料にするため、低コストで増産が出来る体制を構築する必要がある。特に、リサイクル処理は、いかに効率良く酸化焙焼させるかがキーとなるが、それぞれのスクラップ種にあった処理方法を見出し、さらに効率良く実施することが、リサイクル事業を推進するうえで大変重要なことである。目標としては、スクラップの酸化焙焼能力を従来の処理量の1.5 倍に増産することである。このためにも、これまで処理できなかった難処理スクラップを処理可能にする新しい生産技術開発も必要であった。

 3.現状把握・現状分析
 スクラップを大別するとソフトスクラップ( 粉末、スラッジ系) とハードスクラップ(固形系)の2種類がある。スラッジ系については、スラッジ中に含まれる油分の影響で炉内が急激に温度上昇し鋳付き現象が発生してしまうことから、その都度炉の昇降温を繰り返し、効率の悪い生産をしていた。そのため、この鋳付き現象を解消する手法を探索した。

 4.改善方法・分析ツール・アプローチ方法
  ( ソフトスクラップ:スラッジ)
 鋳付き現象を無くすために、前処理(調整)工程を導入し、様々なスラッジの調整条件の探索、さらに炉については、熱処理条件の最適化を図った。

  (ハードスクラップ:固形)
 スクラップの表面から中心に向かって効率良く酸化させる必要があるため、様々な試験を行った結果、酸素との接触効率を向上させることが出来、絶大な効果を発揮することが出来た。

 5.結果・成果
 2016 年度をBM(従来技術)として、現在に至るまでの効果を比較した結果、従来に比べ1.5 倍を超える処理能力を達成することができた。また、加工費に関しても従来よりも大幅に低減することが出来た。
 
    
        図1.炉内の鋳付き状況
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