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巻頭言
  「ご挨拶」 (第133会報)
パナソニックライティングデバイス株式会社
生産技術部 部長 柴田 哲司

 今年度より理事を仰せつかりましたパナソニックライティングデバイス株式会社 柴田と申します。この度は工業会報へ初めて寄稿させていただきます。

 昨今、ネット動画配信サービスの普及によりテレビ離れが叫ばれていますが、スポーツ観戦やニュース視聴は、やっぱりテレビでと言う方が多いのではないでしょうか。私も阪神戦は野球小僧の息子とテレビの大画面で観戦していますし(今年はアレしましたし、この記事が出るころに、CS も突破しているはず)、ニュースもやっぱりテレビ(今年はスポーツコーナーで阪神戦のおさらいを重点的に)です。

 そんなテレビを見ていた時、はっとする印象深いコマーシャルがありました。

 大手コンビニチェーンのコマーシャルなのですが、お店での手作りのお弁当をPR する内容でした。それは、まず若い店員さんが丁寧に心を込めて作っていますから始まります。ふむふむ、そりゃそうでしょう。が、丁寧に心を込めて作っていますだけでは、我々のお弁当は完成しない・・・となります。フタも閉めて完成じゃないのはおかしいなぁ?どうゆうことかと見ていると、画面が変わって購入したお客様がそのご飯をほおばり「おいしい!」と言ってくれた時に我々のお弁当は完成です!というオチになっていました。

 これは、我々ものづくりに携わる者にとって示唆に富む内容で、
  ・商品の存在を知ってもらい
  ・心を込めて作った商品をお客様にご購入いただき
  ・更にその商品をお客様に気に入っていただく(=次の商売につながる)
 この一連の流れが、商売のキモであると改めて認識させてくれます。

 そもそも、タングステンもモリブデンも、おそらく中学生、高校生からその元素記号とともに存在を知られているモノではありますが、技術者と言えども直接触ったことが無い方がほとんどだと思います。恥ずかしながら、私も現職に就くまで、ほとんど触れたことがありませんでした。と言うことは、工業会の我々が思っているほど、タングステンもモリブデンもその実態は知られていない存在なんだと思います。

 業界の更なる発展を考えるとき、これまで接点のなかった新たなお客様の開拓は必須条件です。そんなモノを触れたこともない新しいお客様の目にタングステン/ モリブデンが触れる機会を作り(宣伝広告)、お客様がお望みのカタチにして届け(味付)、そのお客様が「いいね!」と言ってくれた(おいしいやん!)時に、初めて新しい商品や事業が誕生するのではないでしょうか。このようにタングステン、モリブデンを再発見してもらい、その価値を伝えることが、工業会の新たな発展につながると考えています。

 まず、「お客様の目に触れる」手段ですが、やはり今の時代、新たなお客様にモノの情報を届ける第一歩は、インターネット上のホームページです。ホームページを通じて、知っている元素の新たな価値をお伝えし、「タングステンやモリブデンってこんな使い方があったのか!」と再発見してもらいたい。

 これには、工業会ホームページのリニューアルを行う取り組みを今年度から始めており、各社の若手メンバーに入ってもらい作業を進めています。デジタルに慣れ親しんだ若いメンバーの力や感性をお借りして、読んでいただけるあるいはクリック、タップしたくなるホームページを作り上げる。ここは工業会として業界のゲートウェイの役割を果たしていきたいところです。

 次に「お客様のお望みのカタチにする」ところですが、ここは各社それぞれの味付けもあれば、志を同じくする数社が集まって新たな味付けをすることもあるでしょう。さらにはホームページをご覧になったお客様と一緒になって商品開発をすることもあるかもしれません。今はオープンイノベーションの時代です。ホームページを通じて発信されるタングステン/ モリブデンの情報は、国境を越え、距離と時間も越えて人と人とを結びつけ、我々が思いもしない“ おいしい商品”を生むはずです。

 最後に、もう一つ見逃してはならないのは、若い店員さんがお弁当を作っているところです。もちろん、先のコマーシャルでは学生アルバイトさんとの設定で若いということもあるかもしれません。しかし、これから学校を卒業され社会に飛び込む若者から見て、我々工業会に参画する各社が就職先として魅力あるものなのか。あるいは転職しようと思っている人々にタングステン、モリブデン業界は検索の網に引っかかってくるのか。今や世界を舞台に人材の争奪戦が繰り広げられている中で、我々の業界の良さや働き甲斐、さらには社会への貢献を知ってもらうことが重要です。ここでも、ホームページの役割は少なくないでしょう。

 テレビコマーシャルは敷居が高いですが、ホームページは今回のリニューアルを手始めに、我々、工業会の新たな情報発信につながり、上記のような効果が期待できます。ここを足掛かりに、新しいお客様にタングステン、モリブデン の“ おいしさ” を知ってもらって新たな市場を切り開き、工業会の発展につなげていきましょう。担当してくださっている工業会若手メンバーの皆さん、責任重大ですぞ!(笑)

 と言うことで、そのお弁当買ってみました。ご飯がうまい!   
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