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役員寄稿
  「ITIA 第36 回年次総会日本開催」 (第133会報)
日本新金属株式会社
取締役 川口 晃

 今年10 月16 日から19 日までの日程で、帝国ホテル大阪を会場に、ITIA(International TungstenIndustry Association・国際タングステン産業協会)の第36 回年次総会が開催されます(主催 ITIA、ホスト:タングステン・モリブデン工業会、日本機械工具工業会、アドバンストマテリアルジャパン㈱、㈱アライドマテリアル、日本新金属㈱)。

 同総会の日本開催は、1989 年(東京開催)、1999 年の第12 回年次総会(福岡県福岡市)に続いて、24 年ぶり・三回目となります。ITIA 日本代表理事(ITIA 理事長)、日本側ホスト企業の一員として開催準備に関わることができ、貴重な経験となりました。開催に至る経緯やエピソード等、工業会報の誌面をお借りし、ご紹介させていただきます。

 1999 年に開催された前回年次総会資料を紐解くと、ITIA 第12 回年次総会と、当工業会の技術シンポジウムを併催する形で、「第8 回国際タングステンシンポジウム」という名称で10 月12 日から15 日まで、総勢180 名の出席者が、中国・日本・米国・欧州・その他の国・地域から集まり、開催されました。日本タングステン㈱(当時)小倉さんがITIA 理事長に就任されていました。プログラムを見ると、当工業会や超硬工具協会(当時)から多くの会員企業が、市場動向、用途・技術開発等をテーマに発表を行ったことが伺えます。

 今年の第36 回年次総会では、HSE 委員会(健康・安全・環境に関する委員会)、欧州REACH 規制に関連するコンソーシアム委員会、理事会、年次総会が夫々開かれ、ITIA 会員企業各社からの需要動向報告、ゲスト講演として東京大学生産技術研究所所長・岡部先生のご講演が行われます。10 月20 日には、ホスト企業・㈱アライドマテリアル主催の見学会が実施されます(同社播磨製作所・公益財団法人 高輝度光科学研究センター Spring8・SACLA 見学予定)。原稿執筆時点で、参加者数は未確定ですが、前年の年次総会参加者数(25 か国・地域から70 社144 名が参加)を上回る200 名超の参加者をお迎えする見込みです。

 当初日本での年次総会開催計画(2021 年10 月開催)は、2019 年のITIA 理事会で承認されましたが、2020年初頭以来、世界的なCOVID-19 感染拡大で、社会・経済活動が制約され、二度にわたる延期を経て、今回ようやく総会開催となり、タングステンに関連する企業・団体の方が一堂に会することになります。

 10 月17 日には、日本側ホスト主催の歓迎夕食会を、大阪市南部の国宝・住吉大社内の吉祥殿で執り行う予定です。多くの海外からの参加者が日本らしい雰囲気の中で、食事や歓談、エンターテインメントを楽しんでいただければ幸いです。

 東西冷戦の終結、インターネットを主とした情報技術の発展・普及、グローバル規模での経済活動を推進してきた時代から、「G ゼロ」と言われるように、貿易・経済・規制・軍事を特定の国がリードする時代から、多極化(或いは「極」が無い)時代へ、大きな枠組みが急激に変わる時代を迎え、色々な分野で先々の見通しを付けることが難しくなっています。このような時代背景の下、ITIA のような国際団体を通じて、加盟企業各社が、企業としての社会的責任を果たし、事業の発展や環境保護につながる取り組みを進める上で、有益な情報を互いに収集・交換・共有し、よりよい企業活動の展開を追求する素晴らしい機会になることが期待されます。

 今回の年次総会が、旧知の方との親交を深めたり、新たな方との関係を構築したり、新しい事業の枠組みや製品・用途開発のヒントを得たりする場となり、会議に参加される企業・個人にとって、有益なものとなることを願って止みません。

 近年、世界的に人々の健康や安全、環境の保護に対する関心が高まっており、企業にとっても重要な取り組みテーマとなっています。ITIA ではHSE 委員会という専門委員会を設け、年間予算から一定の金額を、健康・安全・環境の保護・増進に有益な科学的データの収集、文献・資料の整備、各国の政府機関との情報交換等の活動に充当しています。日本機械工具工業会、当工業会からも、本活動の重要性をご理解いただき、毎年活動費用の一部をご負担願っています。また今回、日本での年次総会開催費用負担にもご協力をいただきました。誌面を借りてお礼を申し上げます。今後とも、ITIA の活動から得られる情報の共有を通して、両工業会会員企業の皆様に少しでもお役に立てる情報提供を心がけます。

 最後に、今回の年次総会日本開催計画について、ITIA事務局・理事会、日本側ホスト団体・企業とご調整いただいた、前日本代表理事の池ヶ谷様、ホスト企業の窓口として様々な対応にご協力をいただいた、㈱アライドマテリアルの植竹様、アドバンストマテリアルジャパン㈱の西野様、タングステン・モリブデン工業会専務理事の黒金様、日本機械工具工業会の大石様に、深く感謝を申し上げます。

* International Tungsten Industry Association (ITIA)
  URL  http://www.itia.info/
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