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巻頭言
  「新春を迎え思うこと」 (第134会報)
タングステン・モリブデン工業会
理事長 白井 隆雄

 明けましておめでとうございます。新春を迎え、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素はタングステン・モリブデン工業会に対し格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本年は元旦に能登半島周辺で大地震が発生致しました。会員企業の皆様、従業員やご家族の皆様の中にも大きな影響を及ぼしておられる方がいらっしゃると思います。お亡くなりになられた方のご冥福、被災された皆様へのお見舞いを申し上げますとともに一刻も早い復興を祈念いたしますし、社会的な責任を持つ業界団体、企業として、微力ながらも復興への支援をしていきたいと考えております。

 本年は大地震や羽田での航空機衝突事故など衝撃的な事柄からのスタートとなってしまいました。近年の世界各地での戦争や紛争、危機的な異常気象と同列に扱うべき内容とは認識しておりませんが、「異常」、「危機」という単語を間近に感じておられる方も多いと思います。

 そういった意味で近年の新春とは違った雰囲気に日本中が包まれている中、「異常」や「危機」は起こり得るものとして捉え、具体的に準備することの重要さを強く感じました。航空機事故はまさにその典型例で、航空機が全焼してしまうような事態の中で、旅客機の搭乗者379 名全員が無事に脱出できたことは、こういった事故の可能性に対し準備を重ねてきた結果であり、奇跡と言ってしまっては準備されてきた航空会社の皆様に失礼であるとすら感じます。震災については、現在まだ進行形であり、準備の出来不出来を外部の人間が軽々しく論ずるべきではありませんが、不十分なことばかりがクローズアップされる中、準備をしてきたことは色々な局面で効果を発揮していると思っています。紛争や異常気象は上記と比較してどういった準備をすべきかそのものも簡単ではないですし、多くの人の理解と長い時間が必要なのですが、皆が意識し、行動していくことで必ず良い方向に向かって行くと考えます。

 ポジティブな面で昨年を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の影響もだいぶ下火となっていく中で様々な人的活動が再開され、人と交流することの重要さを再認識できた年であったと感じています。タングステン・モリブデン工業会としても対面でのイベントを拡大、国際会議の日本開催支援など様々な形でこの交流を後押しできた一年と思っております。これら内容すべてが、会員の皆様のご理解とご協力のおかげと考えております。感染防止対策やハイブリッドなど新たな取り組みにも積極的に参加していただき、感謝の念に堪えません。

 私自身、昨年6 月末に本会の理事長を拝命され、予備知識のあまりない中での国際タングステン工業会(ITIA)年次総会での印象はとても強いものがありました。タングステン産業のことを考える世界中の人達が大阪に集結し、課題や将来について意見交換する場は、決して順風ではないこの業界の中で大きな期待感を感じさせるものでした。また、こういった場を通して日本のよさや重要さを世界の方々が理解して頂いているのでは?とも感じました。

 ITIA 年次総会の場を共有させて頂いて今、2024 年はよりグローバルな視点でビジネスを考えて行きたいなどと個人的には考えています。具体的に何をするというところが十分でない中でお恥ずかしい限りですが、ボーダーレスで色々な方とコミュニケーションを取り、その中で自分の強み弱みを認識することからはじめたいと考えております。

 グローバルな視点とは直接関係ないのですが、先ほど話をした羽田の事故について先日外国の方と話をしていた中で面白いなと思ったことがあります。私もそうなのですが、日本人の多くは全員が無事に脱出できたことに際し航空会社が周到に訓練した成果であることを強調し、讃えているのですが、海外では搭乗者全員が添乗員の指示に従い、余計な荷物など持たず整然と脱出したことを讃えていると話しており、日本人のメンタリティが今回の脱出劇の大きな要因では?と話をされていました。

 先ほど準備の重要性を述べたのですが、この日本人のメンタリティである、様々な局面で同じ方向を向いて努力できる点は外国人からみると日本人の大きな長所であると感じているようですし、この強みを色々な場面で活かすことができたら、と感じました。

 まだおとそ気分が抜けないような脈絡のない文書で大変恐縮です。会員企業の皆様の益々の発展を祈念し、業界全体を盛り上げていくために本会も本年の活動をして参ります。

 本年も変わらぬご支援をお願い申し上げます。
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