
日本タングステン株式会社
金材部品部 製造技術G
原 慶次
一般に、ハロゲンランプ用フィラメントには、カリウムがドープされたタングステン線が使用される。このドープタングステン線のカリウム含有量は、通常60ppmから85ppm程度である。
ハロゲンランプは、照明用の他に熱源用等、用途は種々有るが、例えば複写機用露光ランプのように点灯消灯で繰り返される膨張-収縮によって生じるストレスの高いランプの場合、使用されるフィラメントの寿命は一般的には非常に短くなる。
そこで高ストレスハロゲンランプ用として、カリウム含有量が85ppmから110ppmの範囲で、且つ、熱処理条件を調整する事により、線中の加工歪をコントロールした新しいドープタングステン線を開発したので報告する。
開発に際しては、高温引張り試験等で物性を調査すると共に、実際のハロゲンランプを製作し、ランプ評価を行った。その結果、従来のドープタングステン線と比較して、特に直径250μm以下の線を使用するハロゲンランプに使用した場合、特性の改善が顕著で、長寿命となる事が確認出来た。
図1は、タングステン線のカリウム含有量とハロゲンランプの寿命の関係を示しているが、従来のハロゲンランプ用ドープタングステン線(カリウム含有量75ppm〜85ppm)がランプ寿命680時間程度であるのに対して、新開発のドープタングステン線はランプ寿命が850時間と改善されている。

図2は、ドープタングステン線(径135μm)の高温抗張力とハロゲンランプ寿命(点灯回数)の関係を示したものだが、高温抗張力が52〜53N/mm2である従来のハロゲンランプ用ドープタングステン線の寿命が2300〜3100回に対して、高温抗張力が55〜62N/mm2である新開発のドープタングステン線は寿命が4000〜4700回と改善されている。

図3は、室温抗張力と点灯消灯の繰り返しによるボイドの発生個数を示したものだが、熱処理条件の調整により加工歪をコントロールし、室温抗張力を2000N/mm2程度に調整したドープタングステン線は、ボイドの発生個数が極端に減少している。特に新開発のドープタングステン線は、室温抗張力2000N/mm2ではボイド発生数が23個(図3に△で示す)と、最も少なくなっている。

現在、この新開発のドープタングステン線は、BK07というロット名で、高ストレス・高輝度ハロゲンランプ用として、弊社のタングステン線のラインナップに追加されている。